text by Kimio OIKAWA 及川公生
ジャズを、思いっきりジャズらしく聴きたい。その衝動をかき立てたのはCDの規格に特化した新製品が登場した事と、躍動感と音像のシャープさの表現に力を注いだアンプの存在を注視、その組み合わせで試聴できる機会を待っていた。CDの高音質新素材の登場が火を付け、ジャズ録音が持つエネルギーを目一杯楽しめる特性に私は歓喜した。従来のCD規格でも、まだ音質向上の余地を知り、さらなる高音質CDプレイヤーの登場に期待したのだ。
DP-501の要はMDSの表記で強調されているD/Aコンバーターの6回路並列接続が注目される。そして、CDのデータ読み取りの精度を確立するトランスポート部の強固な構造と精密なデジタル信号ピックアップ性能だ。
E-560は、最高峰の純A級インテグレーテッド・アンプと称している通り、各回路の主要部はアキュフェーズ技術の結晶だ。出力段「パワーMOS FET」3パラレル・プッシュプル構成。ボリューム・コントロールのAAVA方式。
どれを取り上げても結晶というより、緻密で贅沢な取り組み方である。
組み合わせによるトータルなサウンドに感動した要は、音像の明確さである。それにジャズ演奏のエネルギーの明確な立ち上がりを表現したこと。それが、強調ではない事を明確にしておかねばならない。音に飾りを付けることはアキュフェーズ社の最も敬遠しているところである。この基準があるから録音の仕掛けが見えてくる。仕掛けが見えてくるから、録音の環境が明確に再現される。そこに期待して、ジャズに特化して聴くと、ジャズ特有の音像のエッジが見えてくる。信号系の伝送特性を極めると、こういう音になって再現される事を実感。
詳しいスペック、回路の特長等は別記URLで確認願いたい。
新譜、寺久保エレナの『NORTH BIRD』を聴く。
アルトサックスの生き生きとしたサウンドが録音時の気配を感じるように、ナマっぽく再現され、そこには、録音の質感が極めてシャープに再現されている。躍動感を伴って音像のエッジを印象づけるサウンドの仕掛けは、組み合わせたアンプの実力と受け止めた。CDプレイヤーの音源表現力といえる微細な音情報もあるが、ジャズ録音が目指す輪郭のシャープさとエッジの力強さはアンプ力だ。試聴後から時が経った原稿執筆時の今も、このサウンドは鮮やかに甦る。この録音の特長である臨場感が、気持ちの良い空間情報をまとって再現される。それはCDプレイヤーの性能そのものだ。
ベースのリアルな表現は、ゾクッとするくらいの優れもの録音である。ベースのゆったりした空間表現と低音の容量の大きさは、スピーカーを震い立てさせる瞬発力の現れだ。カッコいいのだ。ドラムスの表現にも同様の感動を感じる。弾(はじ)けると表現する言葉が、ここでは合っている。ジャズの表現するエネルギーがほとばしる。
ピーター・ビーツ&ジャズ・オーケストラ・オブ・コンセルトヘボウの『ブルース・フォー・ザ・デイト』を聴く。
パリパリした管楽器の音色が特長の録音。ここから聴き出すモノは、その管楽器群の艶と張りだ。後ろにのけぞるくらいの、トランペット・セクションの張りのある音、中音域の充実感充満のトロンボーンが炸裂、リード楽器の多様な音色の色彩。何処をとっても、ジャズサウンドの心髄バッチリだ。オンマイクのライブ録音だが、そこに音場の空気感が漂う。情報処理の緻密さに驚き、溌剌とした音の再現性に満足感が充満する。この組み合わせから発する音空間はジャズ派を虜(とりこ)にする。演奏者の気迫を捉えた録音の心髄を逃さない再現は気分がいい。ベースの、極めてシャープな音像にも応えて、図太い音像を浮かび上がらせ、弦の弾(はじ)けがほとばしる。スピーカーの駆動力の余裕を聴いている心地よさは、たまらない。少し、高音域の強調感を伴う録音であるが、これはヨーロッパ録音の気質だ。それが、ここでは気質を理解する趣(おもむき)の気持ちにさせられるから不思議。
試聴ディスク:
『寺久保エレナ/NORTH BIRD』
Blue in Green/キング・レコード DRH-22012 \3,000
録音評:
http://www.jazztokyo.com/column/oikawa/108/column_108.html
CD試聴記:
http://www.jazztokyo.com/five/five688.html
『ピーター・ビーツ&ジャズ・オーケストラ・オブ・コンセルトヘボウ/ブルース・フォー・ザ・デイト』
JOC Records/55 Records FNCJ ? 5539 ¥2, 500
CD試聴記:
http://www.jazztokyo.com/five/five664.html
及川公生:1936年、福岡県生まれ。FM東海(現・FM東京)を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」(ユニコム)。
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#983『藤井郷子 Satoko Fujii New Trio/Spring Storm』(Libra Records=ボンバ) 悠 雅彦/
#984『ドヴォルザーク&ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲集/ユリア・フィッシャー』(デッカ=ユニバーサル)大木正純/
#985 『ギラ・ジルカ & 矢幅歩 SOLO-DUO/Breathing ...』(Jump World=Boundee)望月由美/
#986『Michael Reis/Hidden Meaning』(Double Moon)伏谷佳代/
#987 『奥平真吾 THE FORCE/Live At PIT INN〜I didn't know what time it was』(ピットインミュージック)望月由美/
#988『Alex Cline/For People in Sorrow』(Cryptogramophone)稲岡邦弥/
#989『キース・ジャレット|ゲイリー・ピーコック|ジャック・ディジョネット/サムホエア』(ECM=ユニバーサル)稲岡邦弥
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巻頭エッセイ:丘山万里子:カデンツァVol.58「京都での朝の勤行」丘山万里子/
連載フォト・エッセイ:音の見える風景Chapter27「竹内 直」望月由美/
撮っておきの音楽家たち #61デュオ・アマル(ピアノ・デュオ)/
#62「ピエタリ・インキネン」(指揮者)林 喜代種/
カンザス・シティの人と音楽#36(EXTRA)「東洋と西洋のミックスした国マカオで出会った音楽」竹村洋子/
ニセコロッシ・コンサート・ツアー19(Niseko-Rossy Pi-Pikoe) /
及川公生の聴きどころチェック #162『小山太郎/ビート・ザ・ブルース』(M&I/ポニーキャニオン)/
#163『塩谷 哲/アロー・オブ・タイム』(ビクターエンタテインメント)
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#512「東京フィルハーモニー交響楽団第76回東京オペラシティ定期シリーズ/ミハイル・プレトニョフ/小川典子」伏谷佳代/
#513「マリア・ジョアン・ピリス&アントニオ・メネセス デュオ・リサイタル」伏谷佳代/
#514「エスペランサ・スポルディング〜ラジオ・ミュージック・ソサイエティ」神野秀雄/
#515「黒沼ユリ子 ゴールデン・アニバーサリー.コンサート」西松朝男/
#516 エグベルト・ジスモンチ & アレシャンドレ・ジスモンチ「ギターデュオ、ピアノソロ」神野秀雄/
#517「航プレゼンツKarl2000日本デビュー・ツアー」伏谷佳代/
#518「ブリュッヘン・プロジェクトT・U・V/フランス・ブリュッヘン&18世紀オーケストラ」伏谷佳代/
#519「ブリュッヘン・プロジェクト〜18世紀オーケストラ&新日本フィル 第2回」佐伯ふみ/
#520「上原ひろみ〜ソロBlue Note Tokyo' s 25th Anniversary Year Special Program」悠 雅彦/
#521「ポール・モチアン・トリビュート・コンサート」スティーヴ・バップ
#522「第63回 藤井昭子〜地歌 Live」
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