『カラヤン & ベルリン・フィル/ライヴ・イン・東京1977〜ベートーヴェン交響曲全集 V』
text by Kimio OIKAWA

TOKYO FM/キング・インターナショナル
SACD 4,988円


ベートーヴェン:交響曲 第9番 ニ短調 作品125

演奏: バーバラ・ヘンドリックス、ヘルイェ・アルゲルヴォ、ヘルマン・ヴィンクラー、ハンス・ゾーティン、プロ合唱団連合他
オーケストラ:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
作曲:ベートーヴェン

ディレクター:東条碩夫
エンジニアー:若林駿介
1977年11月18日@東京・普門館にてライブ収録

巨匠、若林駿介氏の録音の神髄を聴いた

透明さの録音とは対局にある、木炭でエッジを書き込んだ様な凄い録音に出会った。前列で怒濤の音量感を独り占めする、それに近い。左右の音像を拡大させず、適度な遠近感と広がり、音像の集中で、楽器の持つ肉厚の唸りが迫り来る。エッジを書き込む濃厚な音像の配分に圧倒される感触がたまらない。
ピアニッシモの音色が美しく、音像の際立ちが明確。弦楽器の美しさは、今、流行の流れにある音質とは異なる。肉厚のねっとりした感触の音質は、録音した時期のハードに起因するところが多いと思われる。が、マイキングで、これを狙ったことは間違いないと推測する。
木管の美しさ、これも今流のあり方とは違う。暖色系の音質を保ちつつ、録音技術の演出として、相当に考え抜かれた技法だ。
声楽。その定位感と存在感が、マルチマイク手法と一線を画す適度なオーケストラとの遠近感、これも今は聞かれない。埋もれていてソロの明確な音像が滲み出てくる手法だ。これは、凄いなと、巨匠、若林駿介氏、録音の神髄を聴いた。SACD盤である。
真空管式MS方式 NEUMANN SM-69のワンポイント録音。実は、本来の収音法で収録されるはずだったが、このワンポイントに変更されている。ライナーノートに詳しく経緯が記載されていて納得。

及川公生:1936年、福岡県生まれ。FM東海(現・FM東京)を経てフリーの録音エンジニアに。ジャスをクラシックのDirect-to-2track録音を中心に、キース・ジャレットや菊地雅章、富樫雅彦、日野皓正、山下和仁などを手がける。2003年度日本音響家協会賞を受賞。現在、音響芸術専門学校講師。著書にCD-ROMブック「及川公生のサウンド・レシピ」(ユニコム)。

JAZZ TOKYO
WEB shoppingJT

FIVE by FIVE 注目の新譜

NEW5.06 '13

FIVE by FIVE
#983『藤井郷子 Satoko Fujii New Trio/Spring Storm』(Libra Records=ボンバ) 悠 雅彦/ #984『ドヴォルザーク&ブルッフ:ヴァイオリン協奏曲集/ユリア・フィッシャー』(デッカ=ユニバーサル)大木正純/ #985 『ギラ・ジルカ & 矢幅歩 SOLO-DUO/Breathing ...』(Jump World=Boundee)望月由美/ #986『Michael Reis/Hidden Meaning』(Double Moon)伏谷佳代/ #987 『奥平真吾 THE FORCE/Live At PIT INN〜I didn't know what time it was』(ピットインミュージック)望月由美/ #988『Alex Cline/For People in Sorrow』(Cryptogramophone)稲岡邦弥/ #989『キース・ジャレット|ゲイリー・ピーコック|ジャック・ディジョネット/サムホエア』(ECM=ユニバーサル)稲岡邦弥

COLUMN
巻頭エッセイ:丘山万里子:カデンツァVol.58「京都での朝の勤行」丘山万里子/ 連載フォト・エッセイ:音の見える風景Chapter27「竹内 直」望月由美/ 撮っておきの音楽家たち #61デュオ・アマル(ピアノ・デュオ)/ #62「ピエタリ・インキネン」(指揮者)林 喜代種/ カンザス・シティの人と音楽#36(EXTRA)「東洋と西洋のミックスした国マカオで出会った音楽」竹村洋子/ ニセコロッシ・コンサート・ツアー19(Niseko-Rossy Pi-Pikoe) / 及川公生の聴きどころチェック #162『小山太郎/ビート・ザ・ブルース』(M&I/ポニーキャニオン)/ #163『塩谷 哲/アロー・オブ・タイム』(ビクターエンタテインメント)

CONCERT/LIVE REPORT
#512「東京フィルハーモニー交響楽団第76回東京オペラシティ定期シリーズ/ミハイル・プレトニョフ/小川典子」伏谷佳代/ #513「マリア・ジョアン・ピリス&アントニオ・メネセス デュオ・リサイタル」伏谷佳代/ #514「エスペランサ・スポルディング〜ラジオ・ミュージック・ソサイエティ」神野秀雄/ #515「黒沼ユリ子 ゴールデン・アニバーサリー.コンサート」西松朝男/ #516 エグベルト・ジスモンチ & アレシャンドレ・ジスモンチ「ギターデュオ、ピアノソロ」神野秀雄/ #517「航プレゼンツKarl2000日本デビュー・ツアー」伏谷佳代/ #518「ブリュッヘン・プロジェクトT・U・V/フランス・ブリュッヘン&18世紀オーケストラ」伏谷佳代/ #519「ブリュッヘン・プロジェクト〜18世紀オーケストラ&新日本フィル 第2回」佐伯ふみ/ #520「上原ひろみ〜ソロBlue Note Tokyo' s 25th Anniversary Year Special Program」悠 雅彦/ #521「ポール・モチアン・トリビュート・コンサート」スティーヴ・バップ #522「第63回 藤井昭子〜地歌 Live」

Copyright (C) 2004-2013 JAZZTOKYO.
ALL RIGHTS RESERVED.