#  372

カート・ローゼンウィンケル・トリオ
2011年9月28日 @丸の内 コットン・クラブ
reported by 高谷秀司 (Hidesi Takatani)
Photos by 米田泰久/提供:Cotton Club

カートに関して二回目のレポートです。

今回は、賛否両論を覚悟に完全ギタリスト目線で彼の解説を試みる。
掲載の是非の判断は、編集長に委ねる事になる。

カートの演奏に色気があるということに異論のある人はいないと思う。
なぜカートの演奏に色気があるのか...。
カートは、めったにオクターブ奏法をしない。
ひとたび、やるとウェス(ウェス・モンゴメリィー)を凌駕しているといっても過言ではない領域にいる。
彼のやり口はシングル・ノート〜オクターブ奏法〜コード・ソロという流れでソロを構築することが多く、それが非常に明確なメロディを持っていることが、カートの演奏に色気を生み出している理由だと思う。
シングル・ノートではビバップ的語法を用い、オクターブ奏法でメロディアスに聞かせ、コード・ソロでは圧倒的なパワーで迫ってくる。
シングル・ノートで延々と引き続けるスタイルと比較して、単純に聴いていて楽しい。聞き手をあきさせない手法だ。

カートは、本当は、音楽理論を知らなかったともいわれるが、カートの頭の中には、あらゆる音楽理論が詰まっていることは、間違いない。
ただ音楽用語を知らなかったので、他人に伝えることができないだけだと思う。
またそんなこと伝える必要もないのかもしれない...。

とにかく、1オクターブ下の音を重ねるだけでトーンはもちろん、フレーズまでもが劇的に変化することはとても興味深く、カートの着眼点には敬服する。

UーXから生まれる色気。
UーXは,どんなJAZZの曲にも多用される。
1小節内で2拍ごとにコード・チェンジするUーXに対して、カートは3種類の弾き方で対応している。この組み合わせの妙が彼の真骨頂である。

1.マイナー7thコード一発で弾く
2拍ごとにスケール・チェンジするのは大変という場合は、マイナー7thコード分解で押し通すことができる。

2.ドミナント7thコード一発で弾ききる
UーXは、本来X7を分割したもので、本来はX7のワンコードと解釈するとごく自然なアプローチといえる。

3.UとXを弾き分ける
Um7を、クロマチック・アプローチで弾き、X7はオルタード・テンションと呼ばれるジャズ・フレーバーたっぷりの音を使って弾く方法。

これら三種類の組み合わせが、実に見事である。

もうひとつカートの色気の秘密。
音の始めと終わりを意識する。

メロディというものは、その始めと終わりの音によって随分と印象が変わる。
コードに対してルート。3rd、5thがもっとも落ち着いた雰囲気に響くが、あえてこの3音をはずしてフレージングすると、グット引き締まった感じになる。
たとえば、キーE♭とキーGが主要なキーになっているとき、トニックコードである音使いを見ると、開始音は maj7thと5th、最終音は5th、6thが多く、少なくとも開始音にルートを使ってないことが分かる。
トニックコードでルートなどのコード・トーンを最終音にすると、終始感が明確になるが、次へつながる感じを出すために6thで終わらせるといった工夫が常に凝らされている。
それもいつも自然体である。

この次へつながる感じが、カート・ローゼンウィンケルの葛篭折(つづらおり)の色気を生み出している。

見事というしかない。

後記:Jazz Tokyoコントリビュータの中の数少ないミュージッシャンとして、今回のような投稿も大切にしていきたい...。







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