Live Report#419

Jazz & Photo Talk 1961〜2012
2012年4月9日 @Apple Store, Ginza
Reported by 稲岡邦弥
Photos by Syn Uchiyama
Thanx to 清水 聡

中平穂積、内山 繁、常盤武彦、ジャズを中心に時代をつなぐ3人のフォトグラファー。斯界の大先輩、ほぼ同時代にジャズと深く係わった同志、NYから時折り本誌にレポートを寄せてくれるゲスト・コントリビュータ、と立場は違うがそれぞれ面識のある方々が時と場を共有するイベントというので、出掛けるつもりにはしていたのだが、最終的に足を向けさせたのはFacebookを通じた仲間からの誘いであった。出掛けてみるとFacebookを通じて突っ込みを入れたり、突っ込みを入れられたりする顔なじみがそこかしこに。お陰で、20数年振りに再会を果たした同志も。Facebook恐るべしである。
それぞれが撮影したとっておきの写真を映写しながらそれにまつわるエピソードを語るのだが、それぞれ世代に応じた被写体とメディアの違いは言うに及ばず、撮影に対する美学のようなものまで明らかな違いが出たのが興味深かった。
1936年生まれの中平にとって「間に合った」偶像はジョン・コルトレーン(1926.9.23〜1967.7.17)。イベントの冒頭を飾ったのは世界で唯一というカラーの8mmフィルムによる1966年のニューポート・ジャズ・フェスに出演したコルトレーン。当夜の参加者にはこのレアな動画を観にきたというファンも多かったという。このとき撮影されたコルトレーンのスチルはアルバム・ジャケットや雑誌を通じてお馴染みである。
還暦を超えた内山繁が「間に合った」アイドルはマイルス・デイヴィス(1926.5.26〜1991.9.28)。1981年10月、東京都庁の建設予定地で復活したマイルスには失望したものの、粘り強く追う内山をマイルスが受け入れ、別荘にまで招じ入れられる存在となる。マイルスと同じように内山を受け入れたのは、ジャコ・パストリアス(1951.12.1〜1987.9.21)。ふたりの数々の特写を通じて、内山はマイルスとジャコのエキスパートとなる。
1965年生まれ、現役バリバリの常盤武彦が特写を許されたジャズの巨人はソニー・ロリンズ (1930〜)である。しかし、88年以来、NYに居住する常盤は、ラッパーを含む若手のミュージシャンを次々に紹介、デジタル・カメラを駆使して撮影したカラフルな写真を並べて先行するふたりと意図的な差別化を図って存在感を示した。
中平はジャズ鑑賞店の経営を生業とし、職業カメラマンではない。モノクロ銀塩で一写入魂、ワン・チャンスをものにしてきた。その成果の多くは作品として残るが、ミュージシャンの気持を慮るあまり、シャッターを押せなかったシーンもいくつか。たとえば、ハンク・ジョーンズ(1918.7.31〜2010.5.16)の最晩年、ブルーノート東京の楽屋に疲労困憊して引き上げてきたハンクにレンズを向けたものの、とうとうシャッターを押さずに帰ってきたという。必然的に、シャッターを押しまくるデジタル・カメラには批判的で、「数打ちゃ当たる」発想は彼の美学に反する。「僕はワン・コンサート、1000枚ですから」と自嘲的に対する常盤とは時代を画する。
デジタルの功罪は音の世界でも同様で、コピペなどデータ処理によるポスト・プロダクションの利便さによりともするとナマ音軽視の風潮を生んだ時代もあった。
エンタテインメント性と多くの示唆を提示した楽しいイベントで、できればPodcastなどで参加者以外にも公開して欲しかったが、権利関係などで難しいのだろう。
掲載した写真は内山繁氏の子息の撮影によるもので、レポート#420に登場するサックス奏者坂田明氏の子息坂田学(ds)同様、親と職場を共有する例である。
なお、関係者を通じAppleからレポートの事前検閲を求められたが、ボツにされると困るので丁重にお断りした。僕は仕事柄Windowsも併用しているが、基本的には、Blackbird以来のMacのヘヴィーユーザーでもあるし。あっ、それは関係なかったね。  













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