JazzTokyo

Jazz and Far Beyond

閲覧回数 2,289

私の撮った1枚No. 329

私の撮った1枚 #5「フレッド・ハーシュ」

photo and text by  Toshio Tsunemi 常見登志夫

ピアニスト、フレッド・ハーシュの2007年9月28日の御茶ノ水・カザルスホールにおけるソロ・コンサートでの写真。18年ぶりの来日公演である(9月23日には舘野泉のコンサートでも有名な長野県の小海町音楽堂でも)。フレッドは当時、50歳くらいか。主婦の友社が所有していたカザルスホールはこの数年前に日本大学が買収していて、しばらくの間は貸しホールとして利用されていた(正式には「日本大学カザルスホール」)。2010年には閉館してしまっているが、これだけ音の良いコンサートホールがもう15年も使われていないのはとても残念である。この時、彼の生音でのピアノに接することができたファンは極上の体験をしたはずだ。フレッドは翌年、病に伏したが、その後は5年おきくらいに来日し、丸の内・コットンクラブでソロ・ライブを行っている。もちろんジャズ・クラブでのステージもかなり贅沢なものだとも思うが、もう一度、ホールでの演奏を心待ちにしているファンも多いと思う。

 このコンサートは、オリックスグループの役員(社長だったかもしれない)のH氏(フレッドのファンならだれでもが知っている研究家でもあるので、今回名前を出しても、とも思ったが、あいにく現在の連絡先が分からず、匿名とさせていただいた)が個人の立場で招聘した。会社としては協賛も後援もしていないという。当時はフレッドの熱狂的なファンはいたものの、今ほど知名度は高くなく、日本でのソロ・コンサートを企画できる招聘元は少なかったのだろう。H氏からはフレッド・ハーシュへの熱い思いを直接聞いた。このコンサートがフレッドの日本での人気を高めたことは間違いない。H氏の愛情がこの公演の成功を生んだと思ったほどの素晴らしいコンサートだった。

 写真の前半がリハーサルで撮影したもの。本番のステージ(後半の写真。服装は同じだが少し整っている)では撮影室(調整室?)でのガラス越しの撮影になり、アップでの撮影が難しいし、演奏も生音は聴けない(モニター・スピーカーでしか聴けない)と予想されたからだ。リハーサルの撮影はH氏を通じて許可をいただいていたが、フレッド本人にも片言の英語で撮影許可をもらった(「いいよ」と、ちょっとぶっきらぼうだった)。

 カザルスホールは来年(2026年)6月に再開予定である。あの時の降り注ぐような音のきらめきがまた聴けることを願いたい。

スライドショーには JavaScript が必要です。

スライドショーには JavaScript が必要です。

常見登志夫 

常見登志夫 Toshio Tsunemi 東京生まれ。法政大学卒業後、時事通信社、スイングジャーナル編集部を経てフリー。音楽誌・CD等に寄稿、写真を提供している。当誌にフォト・エッセイ「私の撮った1枚」を寄稿。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください